AIを活用した検索エンジンが次々と登場し、情報収集の方法が大きく変わりつつあります。この記事では、AI検索エンジンの特徴や従来の検索との違いを詳しく解説し、効果的な活用法をご紹介します。
AI検索エンジンとは 従来の検索との違い
AI技術を活用した新しい検索の仕組みは、従来の検索エンジンとは一線を画す革新的なアプローチを採用しています。AI検索エンジンは検索語句の文脈や意図を理解し、関連性の高い情報を提示できるのです。
ユーザーにとって最も大きな違いは、より自然な言葉での質問に対して、より的確で詳細な回答が得られること。さらに、検索結果の要約や、関連する追加情報の提供など、より豊かな検索体験を実現しています。
キーワードマッチング方式から自然言語処理へ
前述のように、従来の検索エンジンとAI検索エンジンの仕組みには、根本的な違いがあります。従来の検索エンジンは主にキーワードマッチングを基本としており、ユーザーが入力した検索語句と一致するウェブページを探し出します。一方、AI検索エンジンは自然言語処理技術を活用し、検索語句の意図や文脈を理解しようと試みます。
キーワードマッチングと自然言語理解の違いは、検索結果の質と関連性に大きく影響します。従来の方式では、検索語句と同じキーワードが含まれていても文脈が異なる結果が表示されることがありましたが、AI検索では検索意図に沿った結果を提供できる可能性が高くなります。
検索結果の表示方法も大きく異なります。従来の検索エンジンは主にウェブページへのリンクリストを表示しますが、AI検索エンジンは質問に対する直接的な回答や、複数のソースから情報を統合した要約を提供することができます。これにより、ユーザーは必要な情報をより迅速に得られるのです。
ユーザーの行動パターンを分析化して、検索結果を個人に適応
検索語句の理解や検索結果の要約のほかにも、AI検索エンジンには特徴があります。機械学習アルゴリズムを駆使した検索結果のランキング最適化なども、従来の検索とは異なる点です。
AI検索エンジンは膨大なデータを学習し、ユーザーの行動パターンや満足度を分析することで、より関連性の高い情報を上位に表示することができます。さらに、コンテキストを考慮した検索結果の提供により、ユーザーの状況や背景に応じた適切な情報を選別することも可能です。
AI検索エンジンがもたらす変化
ユーザーひとりひとりの検索体験が充実する一方で、AI検索エンジンの普及に伴い、慎重に捉えなければならない変化も起きています。
ひとつめはプライバシーとデータ収集に関する懸念です。個人情報の取り扱いや、AIによる判断の透明性確保が課題となっています。
ふたつめは、ビジネスに影響が出る懸念です。これまでインターネット検索から情報を発信したり、顧客にアプローチをするために使われていた「SEO※1」の手法が通用しなくなる可能性があるため、インターネット検索をビジネスの足がかりとしていた事業者は新たな対策を検討する必要が出てきます。
※1 SEO:Search Engine Optimization(検索エンジン最適化) 。検索エンジンの検索結果の上位に表示されるようウェブサイトの最適化を行うこと。
主要なAI検索エンジンの種類と特徴
2024年11月現在、AI検索エンジンはさまざまな種類が登場しています。
時系列でいうと、2022年に登場したPerplexity AIは、リアルタイムの情報を提供する会話型検索エンジンとして注目を集めました。続いて、2023年にはGensparkが登場し、ユーザーの質問に基づいてカスタムページを生成する新しい検索体験を提供しました。同年、Microsoft BingもOpenAIの技術を活用したBing Chatをリリースしています。
2024年に入ると、GoogleはAI概要機能(AI Overview)を導入し、検索結果の要約を提供することで、ユーザーが迅速に情報を得られるようにしました。また、日本発のFeloも登場し、特に日本語に特化した情報検索を強化しました。さらに、ChatGPT Searchも同年にリリースされ、従来の対話機能にリアルタイムのウェブ検索を組み合わせることで、最新の情報を即座に提供することが可能になりました。
これらのAI検索エンジンは、リアルタイムでの情報更新や、日本語への理解に特化したもの、ユーザーとの対話型インターフェースを備えているものなど、それぞれ個性が目立ちます。
Perplexity AI
「Perplexity AI」は2022年12月に公開された世界初の対話型AI検索エンジンです。GPT-4やClaude-3、DALL -Eなど、複数の高性能AIモデルを利用しています。
大きな特徴は、文章生成に利用する情報源の範囲を限定することができるため、専門的な分野の回答に強いとされていることです。具体的には、「Web(Web全体)」「Academic(学術論文)」「Reddit(討論や意見)」などの範囲を指定することができます。
Genspark
「Genspark」は2023年に登場したAI検索エンジンで、現在はベータ版として無料で利用することができます。
ユーザーが入力したクエリに基づいてリアルタイム検索と生成AIの機能を組み合わせており、このシステムは従来の検索エンジンとは異なり、検索結果を単にリンクとして表示するのではなく、Sparkpagesと呼ばれるカスタムページを生成します。これにより、ユーザーは必要な情報を一目で得ることができ、複数のサイトを巡る手間を省くことができます。
Gensparkの大きな特徴のひとつに、バイアスやSEOに依存しない情報を提供する点が挙げられます。これにより、信頼性の高い情報を効率的に得ることができ、特に複雑なトピックに対しても簡潔な要約を提供することができるのです。さらに、旅行、製品、画像検索など、異なる検索モードを選択できます。
MicrosoftのBing Chat
Microsoft BingのAI搭載機能の中核となるのは、OpenAIのChatGPT技術を活用した「Bing Chat」です。この機能により、ユーザーは会話形式で質問や要求を入力し、AIが理解して適切な回答を生成します。回答の引用元と従来の検索結果もいっしょに表示されるため、より詳しい情報が必要なときには引用元にあたることができます。
Microsoft BingのAI機能が他の検索エンジンと異なる点として、マイクロソフト独自の大規模言語モデルと、豊富なデータベースを組み合わせた点が挙げられます。これにより、最新の情報を含む幅広い知識を基に、より正確で信頼性の高い回答を提供しています。また、画像生成AI「DALL-E 3」と連携しており、Bing Chatの入力画面から画像生成ができるのも大きな特徴です。
Google検索のAI概要機能(AI Overview)
Google検索のAI概要機能は、検索結果の上部に表示される簡潔な要約文です。この機能は、ユーザーの複雑な質問に対して、関連する情報を複数のウェブページから抽出し、まとめて提示します。ただし、AI概要はすべての検索結果に表示されるわけではなく、会話形式で検索語句を入力したときに表示されることが多いようです。
情報源は、Googleが信頼性が高いと判断したウェブサイトから抽出されますが、完全な正確性を保証するものではありません。そのため、ユーザーは表示された情報を鵜呑みにせず、必要に応じて元のソースを確認することが重要です。引用元となるページは生成分の下に表示されるため、確認することができます。
ChatGPT search
OpenAIが発表した機能「ChatGPT search」は、2024年11月現在、ChatGPT Plus加入者とTeamプラン利用者向けに提供されている機能です。従来のChatGPTの対話機能にリアルタイムのWeb検索をかけ合わせた機能で、ユーザーの質問文に対して生成された文章に引用元が表示されます。
従来のChatGPTはモデルが学習した期間の知識からの回答でしたが、リアルタイムのWeb検索が合わさることで回答できるトピックスが増えたといえるでしょう。
WebブラウザGoogle Chromeの拡張機能としてもリリースされているため、これから多くの人に浸透していくかもしれません。
Felo
日本発のAI検索エンジン「Felo」は、日本のスタートアップであるSparticle株式会社が開発した革新的なサービスです。他の検索エンジンと比較して、Feloは日本語に特化した最適化が施されており、日本特有の表現や文脈を正確に解釈します。また、リアルタイムでの情報更新や、ユーザーの検索履歴を考慮したパーソナライズド検索機能、マインドマップ生成やプレゼンテーション作成機能も備えています。
Feloについて、初めて聞いた方も多いかもしれませんが、2024年7月のリリースからわずか1ヶ月で15万人以上のユーザーを獲得しており、徐々に普及しつつあるといえるでしょう。
AI検索エンジンの活用方法
AI検索エンジンを効果的に活用するには、まず従来の検索とは異なるアプローチが必要です。従来の検索エンジンと同じように単語の入力でも利用できますが、より自然な言葉で質問を投げかけ、対話的なやりとりを心がけることでAI検索エンジンの特性を活かすことができます。
また、複雑な質問や多段階の問い合わせにも対応できるため、一度に多くの情報を引き出すことができます。さらに、AI検索エンジンは個々のユーザーの検索履歴や興味関心を学習するため、使い込むほどパーソナライズされた結果が得られます。
ただし、情報の信頼性を確認する習慣は欠かせません。AI検索エンジンを使いこなすことで、業務効率の向上や新たな知見の獲得につながるでしょう。
効果的な質問文の作成方法
AI検索エンジンを効果的に活用するためには、適切な検索語句や質問文を考える必要があります。まず、具体的なキーワードを使用することが基本です。漠然とした言葉よりも、具体的なフレーズや質問形式で入力することで、より関連性の高い情報を得ることができます。例えば、「東京観光」だけでなく、「20代におすすめの東京観光」や「2泊3日の東京観光プラン」といった具体的な表現を使うと良いでしょう。
さらに、チャット形式、もしくは対話型の機能を活用することもおすすめです。AI検索エンジンは、ユーザーの質問に対して自然な言葉で応答する能力があります。追加の質問をすることで、より深い情報を引き出すことができるため、積極的に活用しましょう。
また、情報源の確認も忘れずに行いましょう。AI検索エンジンは多くの情報を提供しますが、その中には信頼性の低い情報も含まれることがあります。ほとんどのAI検索エンジンでは、検索結果に情報の引用元が表示されることが多いので、信頼できるサイトからの情報を優先的に参照することが重要です。特に、健康や法律に関する情報は、正確性が求められるため、慎重に確認する必要があります。
最後に、検索結果をもとに自分の考えを整理し、必要に応じて他の情報源を参照することで、より広範な理解を得ることができます。これらのポイントを意識することで、AI検索エンジンを使った情報収集がより効果的になり、充実した検索体験を楽しむことができるでしょう。
AI検索結果の解釈と評価
AI検索結果の解釈と評価には、従来の検索とは異なるアプローチが必要です。まず、AI検索エンジンは膨大なデータを基に回答を生成するため、結果の精度や信頼性を慎重に吟味することが重要です。情報源の確認や複数の検索結果の比較を通じて、得られた情報の妥当性を検証しましょう。
AI検索エンジンの特徴的な結果表示形式として、要約や自然言語での回答が挙げられます。これらは便利である一方、元の文脈が失われる可能性があるため、必要に応じて原典にあたることも大切です。また、AI検索結果には、学習データに起因するバイアスが含まれる可能性があります。特に社会的・文化的な話題では、多角的な視点で結果を評価することが求められます。
人間による検索結果との比較では、AI検索の方が広範囲な情報を迅速に提供できる一方、微妙なニュアンスの理解や創造的な解釈においては人間の方が優れている場合があります。AI検索結果を鵜呑みにせず、自身の知識や経験と照らし合わせながら批判的に評価することで、より効果的に活用できるでしょう。
ほとんどのAI検索エンジンでは、検索結果に情報の引用元が表示されることが多いので、信頼できるサイトからの情報を優先的に参照する習慣をつけましょう。特に、健康や法律に関する情報は、正確性が求められるため、慎重に確認する必要があります。
Web上の情報はAI検索エンジンで。社内の情報は?
AI検索エンジンの登場で、Web上の情報はこれまでよりも早く、分かりやすく調べることができるようになりました。
しかし、企業のなかの情報はどうでしょうか?これまでに作成した資料やデータなどが分散し、活用されていない企業も多いでしょう。そういった課題にアプローチできるのは、AI検索エンジンではなくクローズドな環境で利用できる法人用ChatGPT「HEROZ ASK」です。
「HEROZ ASK」では、セキュリティに関する基本的な機能に加え、部署ごとのアクセス権限設定や、社内データの安全な活用が可能です。また、Microsoft Azureの環境で会話履歴が学習されない設定を採用し、機密情報の保護を強化しています。
こういった企業向けのAIアシスタントツールを選ぶ際には、データの暗号化やアクセス制御、ログ管理などのセキュリティ機能のほかにも、ランニングコストや使いやすさなどの観点も必要です。「HEROZ ASK」は20ID以上の契約なら月額900円/ユーザーで利用できるため、OpenAIが提供する企業向けプランよりもお手頃に、安心してご利用いただけます。
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この記事の情報は2024年11月26日時点のものです。